01の発想

事業開発のコンサルティングを20年以上経験させていただいている。既存事業からスピンオフするものもあれば、外部環境から発想するものもある。

戦略の基本は、外部環境の追い風に乗ることと、強み(内部環境)を活かすこと。この掛け合わせである。

しかし、強みを活かすことだけに注力すると発想が行き詰まることがある。どうしても既存の成功体験に影響を受け、リニアな発想をしてしまう。コンピテンシートラップである。

Exploitation(深堀)も大切であるがExploration(探索)も重要である。昔、師匠がいった「深堀りするのには幅がいる」。

外部環境を眺めながら理想の或いはこんなことができたら面白いというものが出てくる。

河野豊弘氏(1922年-2014年元ピッツバーグ大学名誉教授、学習院大学名誉教授)は著書の中で、「新しい組み合わせをつくる能力としての新しい角度から見る能力(フレキシブル)と、たくさんのアイデアを生み出す能力(フルーエンシー)が重要だとしている。そのためには連想の能力や類推(アナロジー)の能力が必要」と指摘している。

類推が創造性の基本であるというのは他論文でも観られる。まあ、ざっくりいうと世の中を観て、街を歩いて、事実を集めながら多様な視点で眺めてみる行動力と好奇心が大切ではないか。

先にも触れたが、新規事業には直観というかセンスのようなものが求められるのではないか。

河野先生の阿佐ヶ谷のご自宅、研究室でのお姿が懐かしい。

(宮川 雅明)

戻る