ダークパターンが生む4つのロス

OECDは2022年10月にOECD DIGITAL ECONOMY PAPERS を発表している。

 ダークパターンは、デフォルトバイアス(初期設定)やヒューリスティック(経験則などに基づいて簡潔に答えを導く出すこと)或いはフレーミング効果(表現の仕方で意思決定に影響を与える心理的現象)などを利用して私たち消費者に悪影響を与える類型(パターン)をいう。

ダークパターンまたはダークパターンが存在する環境において、4つのロスが生じると思われる。経済的ロス、知的ロス、社会的ロスそして精神的ロスである。

情報民主主義

情報民主主義において、政治的な意味合いはもたない。

インターネットは社会において無くてはならないインフラストラクチャーである。

インターネットを利用する市民の立場から、インターネット情報の在り方を健全化することを目的とする。

インターネット上に情報を発信する側、特に事業活動においては、提供側には本物性(authenticity)と社会的責任を求める必要がある。

本物性と社会的責任を示すには、共創社会の現代においては、第三者による客観的な監視または評価の類つまりガバナンスが求められる。

ガバナンスはオープンでシスティマティックであることが原則と考える。これには一定のコストを要するが、信頼できる社会を構築するための社会コストとして、全員が必要性を認識する必要がある。

リーダーシップ

リーダーシップというテーマは常に話題にあがる。特にVUCA時代においては明確なビジョンが求められるとしている。

40年以上コンサルティングをやっている。MBAでリーダーシップの講義も行ってきた。

結論、リーダーを育てる原則は一つしかない。修羅場を何度も経験させることである。

時を過ごすと経験は異なる。10年、営業やったから営業のプロかといえば、同じようなことを繰り返してるなら、それは時を過ごしただけで経験とは言い難い。確かに永くやればそれなりのスキルは身につくかもしれないが、遅い。ビジネスの世界において(例外はあるが)遅いのは致命的である。

また、誰に経験させるか、人選は極めて重要だ。かつて、師匠が言った。「センスの悪い奴は何をやってもダメだ。」異論もあるかと思うが、冷静に受け止めてほしい。

リーダーの責務の一つは、次なるリーダーを育てることである。人を遺すことである。

創造性

このテーマは永遠の課題ともいえる。1998年 “How to kill Creativity” (Teresa M. Amabile )に創造性の3要素が紹介されている。

(1)創造的思考スキル、(2)専門性・専門能力、(3)モチベーションである。

創造的思考スキルというのは芸術などでいう独創性とは異なる。ビジネスなので適度な利便性、実行に移せ、品質を向上させ、プロセスの革新をもたらし、ビジネスのやり方に影響を及ぼすものでないといけない 。

専門性・専門能力というのは深堀だけでは駄目で横の広がり、応用性も求められる。そうすることで組み合わせによってイノベーションを生む創造的思考スキルと専門性はシナジーを発揮する。

応用性というのは領域だけでなく、人的広がりも含むと考えてよいだろう。今よく目にする越境人である。

モチベーションはベースとなる。これに欠けると上記2つは機能しない。使われないといってよい。

モチベーションは大きく分け2つり外因的なもの(extinsic motivation)と内因的なもの(intrinsic motivation)がある。創造性という点においては後者が重要となる。金銭や肩書などの外因的なものが目的であれば、その仕事が単純で魅力ないものでも継続することになる。そこに創造性はない。

日本は偏差値教育が好みのようであり、社会的格差の遠因でもあるかもしれないが、創造性という側面でいえば偏差値教育とは別物である。Effectuation理論でも立証している。むしろ邪魔なものかもしれない。

(宮川 雅明)